美人妻は性欲旺盛っ!
第22章 浅葉幸人
「だから石田
右京を悪く言うなよ」
「騙されてます先輩は!
悪女ですよ!どうせ先輩が泣いてる事なんか歯牙にもかけてなくて…」
「会ったらわかるさ
いい女だもん
カラダはすげーし、頭はいーし、自分でものを考えるし、エロくて体中からスケベな匂いさせてて、普通に考えて男がほっとかないだろ」
石田の言い分もゆきにはわかる
こうして石田が代わりに怒ってくれるから自分は冷静に考えられた
正直ゆきは、右京が外でセックスしてきた事に対してはそれほどショックを受けていなかった
あんないいカラダを持て余してるのだから楽しんだっていいはずだ
性行為を楽しむ
少しショックだけど
それはまだいい
何よりもショックなのは、妻が自分より他の男のほうのセックスで感じていた事でもなく、大好き女の気持ちが離れていってしまう事だった
たとえどんなに好きでも、もう愛してもらえないのだと思うと、切なくてはらはらと涙がこぼれた
「ちょ、先輩!?
またですかっ!?今度は何を考えたんですかもー!拭くもの拭くもの!」
「いや…人を好きになるってホントえげつないなって思ってな」
「なに言ってんですか
そんなの当たり前じゃないですか」
「いや、初めてなんだよ
いろんな女と仲良く寝たけど
俺が本気で好きになったの
右京が初めてなんだよ
こんなにつらいのか…
こりゃしんどいわ
ははっ…
バットで殴られるのも頷ける」
ゆきは思い出していた
あの時右京は望月翔吾と別れた原因を自分のせいにし、よりにもよって金属バットで人を殴った
右京はいつでも全力で、自分に正しく生きる女だった
そんな風に自分も全力でフられるのかもしれないと思ったら、とてもじゃないが地球外に逃げたかった
ゆきはもちろんあんな事があった今でも右京が好きだった
けれどそれゆえに、右京と信じたい気持ちと疑ってしまう気持ちがせめぎ合って余計つらかった
ゆきは好きな女ひとり信じてやれない自分に苦悩した
こんな男じゃ…右京を守ってやれるわけがないとまで思った