美人妻は性欲旺盛っ!
第23章 ひとりの戦い
会社から帰宅していく人がぽつぽつ現れ始めた
スーツ姿の男性やOLが増え始めてもゆきくんの姿はなかった
残業かもしれない
会社の人にジロジロ見られて私は萎縮していた
知らない人間が会社の前で突っ立っていたら不審でしょうがない
ぎゅっと手を握る
会社の人間からだけでなく、歩行者からも奇異の目で見られ、歩道を人が通りすがるたびに視線を集めていた
あの子、なんだろう
さっきからずっとだよ
人を待ってるんじゃない?
でも誰もこないじゃん
風に乗って聞こえる声
誰もこない
ゆきくんと会えない
そういう可能性だって考えないわけではなかった
でも、私は
時間がほとぼりを冷ましてくれる事を待つのは嫌だった
それが今最善なのだとしても絶対に嫌だと思った
どんなに好奇の目で見られて恥ずかしかろうが、私は一秒でも早く会って話がしたいし、そうしなければ後悔すると思った
(待つ…
今日がだめなら明日も…
その次も…
やだな、風が…
夜は少し、冷えてきた…)
その時だった
会社から出てくるゆきくんの姿が私の目に映った
同僚らしい快活そうな若い男性と二人で歩いていた
「あっ…」