美人妻は性欲旺盛っ!
第23章 ひとりの戦い
「そしたら俺は
右京を許せるかもしれない
気持ちにケリをつけて
もう一度…
信じてやれるかもしれない
本物なんだって二度と疑わない」
「先輩…」
石田にもわかっていた
これは二人の二人だけの勝負で自分の出る幕はないと
それでも言わずにはいられない
そんな曲芸みたいな賭け
「むりですよ…」
「むりかもな
でも、見たいんだ」
「信じすぎです…
夢見すぎです…
なんでですか先輩…
超信じてるじゃないですか」
石田は二人の想いの強さと信頼の深さにぞっとした
ゆきだけじゃない
右京も全く疑ってない
口を聞いてもらえた
それだけで喜び
藁にも縋る細腕は強く
泣いても
冷たく拒絶されても
めげてない、くじけてない
泣き崩れた
ショックだったろう
それでも諦めない
猛然と立ち向かってくる
「もし101回俺を訪ねてきたら
俺はもうメロメロだろうな
一人の女からそんなに想われたら
しかもそれが惚れた女だったら
なんつーかもう死んでもいいよな
幸せ者すぎる」
ゆきは笑った
笑顔が増えた
社員の女の子が聞く
何かいい事ありました?
ゆきは秘密と答える
出社か退社の時になるとゆきの表情は固く厳しくなった
無表情のまま、今は離れて暮らしている右京に相対する
無言で振り払われて
深く傷ついた顔をするのに
夕方、あるいは次の日
懲りずに会社前で張っていて
熱心に話しかけてくる
ゆきの態度に容赦はない
言葉はなく、拒絶し
時には突き飛ばす
媚びるのではなく
挑むような目で見られる
毎日毎日毎日
強い目で見られ続けると
嫌でもすごさを認識してしまう