美人妻は性欲旺盛っ!
第23章 ひとりの戦い
風がひゅうと吹く
右京はぽつんとそこにいる
会社の前で待っていた
日は沈んで暗い
行き交う雑踏に目を向けるとカップルが多く、腕を組んだり肩を抱き合ったりしている
幸せそうに笑う顔
でも全てがそうじゃない
頭から離れない
望月翔吾はもう二度と笑えないかもしれない
右京は彼に何もできない
その資格がない
どんな言い訳も利かない
結局ゆきも傷つけた
右京は最低な女だった
おまけに
役立たずで
甘えるしかできない
守られるだけの女
どこにでもいる女
離れてみて初めてわかった
自分とゆきでは
こんなにも器が違った
釣り合わない
悔しくて、悲しくて
大人になりたくて
右京はポロポロと涙を流した
許されない事をしても
許してしまう人に自分は何を
してあげられるのだろう
右京にはわからない
言葉ではどうしようもない
ただ心から幸せにしたいと
ゆきを強く想った
最低な私でもできる事なら
なんでもしようと思った
こうして過ちを犯しても私を選んでくれるゆきを、持てる人生の全てを使って守ってあげたかった
(よかった
沙緒里さんから聞いた話じゃ
しょうくんは大丈夫みたい
本当に…よかった
私よりいいコなんていっぱいいるんだよって知ってほしい
いい人、見つけてほしいな
また……誰かを愛してほしい
幸せになってね…)