美人妻は性欲旺盛っ!
第23章 ひとりの戦い
勇気をくれた人がいる
だから私は前を向く
「………っ」
右京が見やると、ゆきが会社から出てきた所だった
本来ならもっと表情は明るくなる予定なのにそうできない
ゆきの傍らには同僚らしき女性社員が笑顔で並んでいて、ゆきが笑っているわけではないが、胸が締めつけられる思いだった
彼女はしきりに話しかけて、ゆきから相槌をもらっている
負けるものか、と思った
「…お疲れ様」
ゆきにまとわりつく女性は右京を完全に無視した
以前、右京はこの女性からストーカー女と言われた事がある
事実その通りなのでその時は何も言い返せなかった
「悪いけど」
ゆきが笑顔で言う
ちょっと凍るような笑み
怖くて、女性の顔が引きつった
「俺、愛妻家だから
奥さんの機嫌損ねたりして、エッチしてくれなくなると困るんだ
うちのやつ、すげー上手いの
男を狂わせる天才
スケベだから乾く暇ないし
あれに、空になるまで抜いてもらうのが楽しみなの
ごめんね」
最低!
と、叩かれている
(ってそりゃそうだ
そんな言い方ないよゆきくん)
「…なんだよ
何がおかしいんだよ」
「いや…くすくす
そんなに溜まってるなら、搾り取ってあげましょうかお兄さん?」
「格安でお願いします」
右京は頬を染めた
……したい
冗談のように言ったが、格安と言わずお金を払ってでも右京はゆきに抱かれたいと思った
「でも可哀相だったよ」
「あんまりしつこいから
話したい相手が他にいたからな」
「ふーん」
「なんだふーんって
顔にやけてんじゃねえか」
「さ、触らないでよ」
こんな会話ができる
まじまじと顔を見られてしまう
触られてしまう
だめだ、と思った
熱くなる
好きすぎてタガが外れる
「帰れよ」
「うん」
「また明日」
「…うん」
ドキドキしていた
顔の火照りが収まらない
寂しくてしょうがない
一緒にいたくてたまらなかった