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　増援とばかりにワゴン車から男がぞろぞろと降りてきた



「囲め
可能なら捕らえろ
金になる」



　強面の男が低く発した
　右京を気絶させようとした人物もこの男だった

　しかし車から降りた男たちと起き上がった一人を含めて全部で四人、呆気なく璃乃にやっつけられてしまった



「五人や十人じゃ
悪いけど今更驚かないよ
これでも昔は
随分やんちゃしててね」



　不敵に笑って、やられたフリして姑息にも不意を打とうとしていた男の手を靴で踏み潰した



「悪党には容赦しない」



　端麗な顔が子供のように笑う
　喧嘩慣れしていた

　右京は隙を見つけた
　後頭部で男に頭突きし、拘束から抜け出して逃げた

　璃乃は走っていた
　強面の男も動いた

　おまけに鼻血を出した男がブチ切れてナイフを出した



「…っ…!?」



　銀に光る刃物を見て右京は足が竦んでしまった

　普通なら怖いと思うだろう
　けれど違った
　いざその時になってみると、感情なんか消し飛んでしまった
　パニックになっていた

　右京の場合、名前を呼んでいた
　大好きな人の顔が浮かんだ
　目をつむった






　………ゆきくん…っ！