
喘ぎ声レッスン*SS追加中*
第6章 そして何かは動き出す
俺は思わず『彼女になれ』と言いそうになった。
俺には出来ない。出来ないんだ。
結局つき合っても、直ぐに別れさせられる。今の仕事を辞めて、会社を継いで経営しなければならない。そして、もう許嫁もいる。
俺には、彼女を幸せに出来ない。
こんなに大好きなのに。愛しているのに。俺は自分の生まれた立場を憎んだ。
「ペット、」
少し残念そうにする彼女が愛おしい。
俺は、何でこう、自由になれないんだろう。
家柄という鎖に繋がれて、自由に動けない。いつまでも鎖は離れない。まるで、彼女に今付いている手錠のように。
特注の手錠は決してはずせない。それと同じ。決してはずせないのだ。
