喘ぎ声レッスン*SS追加中*
第8章 目指す先に何があろうと
あの日から、俺は抜け殻になった気分だった。
まるで死人のように起きて、ここからそう遠くない父の会社へ向かう。
今の家は俺の為に用意してくれた家で、俺は明日、実家に帰るのだ。。
いなくなってもっと気付いた。俺は梓ちゃんが大好きだって事に。
約束の時間は刻一刻とせまり、俺は小さめの鞄を玄関に置いた。入って
いるのは財布とクマのぬいぐるみ、それだけだ。
梓ちゃんとの思い出が詰まった、運命のクマ。梓ちゃんと出会うきっかけとなったクマ。
・・・梓ちゃんに、会いたい。
会いたいよ。
本当は家になんて、継ぎたくない。
俺の願いはそれだけなのに、神様は許してくれないのだ。
・・・会いたいよ、梓ちゃん。
目に溜まる雫が、頬に流れる。
「梓ちゃん…、会いたい、会いたいよ」