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仁くんというのは、矢野仁（ﾔﾉ ｼﾞﾝ）の事だ。学校でも喧嘩が強くてリーダー格だったの男の子だった。

コイツの言う事は絶対。みんな逆らわなかった。



だけど小学校であたしの恋を全て玉砕へ追いやったのは、紛れもないコイツだった。




「ごめん、お前とはつき合えない」

告白もしてないのに、勝手にフラれる日々。

それも、気になっていた男の子達だった。

「好きにならないでくれ」

そう言われた時にはショックだった。
泣いた事もあった。

そもそも好きなのかも分からなくて気になっていただけなのに、告白さえしたことのないあたしはフられ続けた。




後で知ったのだが、裏では仁が『南森を振らないと殺す』って脅していたらしい。


…一体なんの恨みがあるんだか。あたしはその所為で彼氏なんてろくに出来なかったのだ。


幼馴染みだった、あたしがこの世界で一番嫌いな男だ。