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喘ぎ声レッスン*SS追加中*

第19章 彼の顔

「はぁ・・・はぁ・・・」

「梓ちゃん…」

優のお父さんが病室の前で座っていた。それ以外にも知らない人たちが数人隣に座っている。

「あの、優は…」

優、死んでたら許さないんだから。

「横断歩道に運悪く、息子が歩いている所にトラックが突っ込んできたらしい。その運転手はアルコールを摂取していた」

お父さんの言葉があたしの
中に重くのしかかる。

あたしとの約束がなければ
こんな事にならなかったのかな。

そんな事を考えてしまう。


「優は一命をとりとめた。
だけど今も危ない状況らしい」


無理して笑顔をつくって言うお父さんから、凄く優しさを感じる。だって泣いてたらあたしも泣いちゃうって分かってるから。

あたしは泣いちゃいけないんだ。

優は絶対帰ってくる。
帰ってこないとおかしい。

あたしはお父さんの隣に座った。

ひたすら祈りながら
涙は流さない。

だって優は帰ってくるんだもの。

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