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喘ぎ声レッスン*SS追加中*

第19章 彼の顔

手術時間は約1時間。
あたしは祈りながら待っていた。

涙は流さなかった。
優はきっと帰ってくるのだから。


…帰ってこなかったら。

想像出来なかった。
想像なんてしたくない。

『・・・梓』

あたしの名前を愛おしそうに呼ぶ彼の顔が、はやく見たい。思い出すと涙が出そうになって、ぐっと堪えた。

・・・みんな我慢してるのに、あたしが泣いたらお父さん達も泣いてしまう。


あたしはもう、生きていけない気がする。優が居ないと、生きる意味の殆どが消えちゃうもん。

お願いだから…。
神様、あたしの一生分の幸せを使い果たしても良い。

だから・・・だから、
優を助けてください。
あたしがどうなってもいい。

あたしが死んでも
いいから、優だけは。
優を助けてください・・・。

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