雨の中の君へ。
第5章 罪と罰。
「…仕事…は?」
お茶を出す。
私の母は、伯母さんとタケルとで普段は使っていない離れにある部屋で話しをしている。
あの後すごく取り乱した母の声に驚いて伯母さんがやって来た。
「…結婚しよう。」
私はトモヤを凝視する。
「…なぜ?」
「なぜって?」
トモヤはお茶を飲む。
「私、トモヤを裏切っていたのよ。」
「…うん。だから。」
目と耳を疑った。
「だから、別れない。別れたら、サキ、嬉しいでしょ?」
トモヤの笑っていない目と冷たい声に、ゾッと寒気がした。
そして、
トモヤが私を抱きしめる。
これは、罰…。