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雨の中の君へ。

第6章 束縛。


「痩せた?」

先生が私を見て言う。
私はこくんと頷いた。

打ち合わせでホテルのロビーで会っている。

ブーンと携帯が鳴った。

…トモヤだ。

「すみません…」


席を外して出る。

「どこ?」

「…打ち合わせ。」

ホテルの名前を伝えると、そう、と言って切れた。

…トモヤは束縛が激しくなった。

私のせい…ソファーに戻る。
先生の大袈裟なため息。

「…サキ、幸せそうに見えない。」

真剣で優しい眼差し。
先生の暖かな眼差しに包まれる。

「…まるでお父さんみたいですよ」

「苦しそうに、見えるよ。」


それまで我慢していた涙が溢れた。

「金谷、部屋を用意して。」

ビクッとなった私に、今のサキは抱く気がしない、と先生が微笑みハンカチを渡してくれる。

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