雨の中の君へ。
第6章 束縛。
ふぅ…っ
全て話して何だかスッキリした自分に気付く。
その変化を先生は見逃さない。…さすが作家だなぁと思う。
心理描写に長けている。
「事実は小説より奇なり、だね」
「…こんな事実ならいらなかった。」
グズっとティッシュで鼻をすすった。少し心が軽い。
「ようやくサキのこと、抱きたくなった。」
「ダメ笑」
先生が私のおでこにキスをする。
「さて、どうする?サキ。私は君を抱きたいんだけど、金谷が、彼をロビーで止めているみたい。」
「…」
さっき電話でホテル名を告げた。あれから随分と時間が経っている。着信とメールが山のように入っていた。見なくても分かる。
軽くなってた心がまた、重たくなる。
…トモヤ。
「私と金谷とで同席しても良いかな?」