雨の中の君へ。
第6章 束縛。
人目はあった方が良い、という先生の判断で、ホテル内のレストランに入った。
「何してたんだよ?連絡も無しに。」
トモヤは人目を憚ることなく、イライラした声を出す。
「僕とサキとの問題です。お引き取り願いませんか?」
私に投げかけたそのままの態度で畑山先生と金谷さんを見て言った。
「帰ろう、サキ。仕事場までごめん。」
トモヤが私の手を取ろうとした。私はスルリと手を引く。
「座りませんか?」
金谷さんがトモヤのために椅子を引いた。
席を立ったままではさすがに目立つと思ったのか、トモヤが憮然とした面持ちで席に着く。