雨の中の君へ。
第6章 束縛。
「トモヤとはもう付き合えない。」
私は少し手が震えるのを感じながら、はっきりと告げた。
「なっ…何だよいきなり…」
トモヤが私を凝視する。私はトモヤの目の前に指輪を置いた。
「俺を裏切ったのはサキだろう?」
「トモヤ、ごめん。」
私は頭を深く下げる。
「…2人で話そう?疲れてるんだよサキ。美味しいもの作るからさ、帰ろう?」
トモヤが私の気を変えようとコロコロ態度を替える。
「私、トモヤをもう愛してない。だからこれ以上一緒にいられないし、結婚できないの。」
ものすごく彼を傷付けていると自覚してる。一言一言に彼の表情が変わっていくから。
…けど、このままじゃ私達だれも幸せになんかなれない。私に幸せになる資格はない。けど、トモヤは…
ジッとトモヤを見つめる。
「…あの男と一緒になるのかよ?」
首を振る。
「だよな、
血の繋がった兄妹だもんな。」
私は目を見開いて固まった。
「僕だけに、ってお義母さんが打ち明けてくれたんだ。」
秘密をこんな場所で言うの?トモヤを凝視する。