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天使で悪魔なセラピスト

第2章 セラピスト



「僕の患者に何か用でも?」


凛としたアルトテノールの声に、ユナはどきんとした。



「!…いや、あの、」


彼の白衣の肩越しに、狼狽する中年男が見えた。


「ならお引き取り願おうか。」


「う…」


中年男は少し惜しそうに奥にいるユナを見やったが、やがて逃げるように立ち去って行った。


中年男の姿が遠くに消えたのを見届けた彼が扉を閉め、ゆっくりと踵を返した。


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