天使で悪魔なセラピスト
第3章 最初の施術
まだキョトンとしているユナを、蓮はクスリと笑った。
「セラピストって単語、初めて聞いた?」
「え、…あ、そういうわけでは…」
「言い方を変えると心理療法士。患者が心に抱えてる悩みや傷を、癒す医者ってわけ。」
甘い微笑を浮かべる蓮は若く美しくて、ユナの中の医者のイメージとはずいぶんかけ離れていた。
「あっ」
蓮の大きい掌がまたユナの肩に触れた時、ユナが咄嗟に尖った声を出し身体を硬直させた。
「…男に触れられたり話しかけられるのが、怖いんだね?」
「さっきの男からも言い寄られて、怖くてここに逃げ込んできた…そうだろ?」
「…どうして、分かるの?」
「そりゃわかるさ。僕はその筋のプロだから。」