天使で悪魔なセラピスト
第5章 始 ま り
「僕がどれほどうれしいか…キミに想像できる?…ユナちゃん」
えっ
うれしい…?
そっと顔を上げ見上げた蓮の表情にユナは息を飲んだ。
端麗な眉を少しだけ曲げてしかめ、切なげで。
だけどたまらないほどの愛しみ深い光を宿した瞳が、じっと一心にユナに注がれていて
。
「っきゃっ!」
いきなりユナを横抱きに抱き上げ、蓮は急くように診察室内へと入っていった。
「…あ、…せんせ!」
先週、キスをされた診察室を通り越し、さらに奥にあった扉を、蓮はユナを抱き上げたまま器用に開けた。
そこにあったのは、ベッド。
どさりと降ろされた時、ユナの身体がふわふわとスプリングで揺れた。
診察のための寝台などではなく、上質なベッドだった。
敷かれたシーツは薄青いシルクだ。
ユナは驚いて蓮を見上げたが、
すぐに彼が上から覆いかぶさってきた。