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天使で悪魔なセラピスト

第5章 始 ま り

病院から二人以外の人の気配が消えた。


「さ…おいで。ユナちゃん」


蓮がまた、ニコリとして手を差し伸べた。


「はい、…で、でもあの。…」


「ん?」


「さっきの、…麗華さんという綺麗な人…、私に怒っていたみたい、でした。」


不安そうに言うユナに、フ、と笑う蓮。


「大丈夫…」


優しく腕を掴まれ、グイと引っ張り込まれたのは、蓮の広い胸だった。


「あ!」


途端に心臓がドキんと跳ねた。


たくましい腕が包み込んで来て、ギュッと抱きしめられた。


「あっ…」


甘く清々しい香気と温かい逞しい胸に包まれ、ユナが小さく声を上げた。


「正直、来てくれると思わなかった。」



そのまま耳に落とされた掠れたセクシーな声に、ドクン、とまたユナの胸が大きく鳴った。

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