テキストサイズ

あなたが消えない

第4章 キスマーク

私はうなじを隠して、恥ずかしくなって、うろたえてしまう。

なのに永津さんは、そんな私を不思議そうに見つめる。

…まるで、おかしいのは私みたいに。

「すいません。ついつい奥さんのうなじ見てたら、キスしてしまって…申し訳ないです」

はぁ?何それ。

「……」

私はそんなふうに言われて、返す言葉を失う。

なんて大胆なの。

「嫌いになりました?」

「えっ?」

不安そうに見るから、

「そんな…、こんな事で嫌いになんてなりませんよ。ただ、ちょっとビックリしただけ…」

私も何で、こんなヘラヘラと笑って答えるのだろう。

でも本当のところ、そんなに嫌な気分じゃなかった。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ