あなたが消えない
第13章 あなたの全てが欲しいのに
翔とは相変わらず、昼間からお互いの玄関で二人の熱い時間を過ごしていた。
用が済むと、すぐに翔は会社へと戻る。
「寂しい?」
「明日も会えるから平気」
「いいよ、また翼の旦那が風呂入ってる間に、こっそり抜け出して来ても」
「堪らなくなったらね」
「いつでもすぐ出来るように、翼の事だけ考えて、ココ温めておくよ?」
と、翔は悪ふざけでズボンの上から、自分の股間に手を添えた。
「やだ、もぉ。エッチ!」
「エッチ好きなのは翼だろ?」
「思春期じゃないんだから、発情し過ぎ!」
こうやって、いつの間にか笑い合い、冗談の言える仲になっていた。
「じゃあ、俺、会社戻るわ」
そして、今日は201号室の私の部屋から出て行こうとするから、とっさに後ろから翔を抱き締め引き止めた。
「翔、愛してる。ねぇ、今私に見せてくれている翔はホンモノの翔だよね?」
「当たり前だ」
私はその背から手を離す。
振り返り際に、翔は優しい顔をして言った。
「妻にも誰にも見せていない、ホンモノの俺だ。それを、おまえにしか見せていない。信じろ」
その言葉に、私は安心してうなずいた。
「行ってらっしゃい」
「あぁ、じゃあまた。誰か来ると危ないから、鍵閉めとけよ」
私は、また今の何気ない言葉にドキッとして、今までよりも更に翔を好きになった。
誰よりも何よりも先に、翔ともっと早く出逢っていたなら、もしかしたら私は毎日この人と一緒に生活出来ていたかも知れない。
神様の決められた運命の出逢いの遅さに、私は少しだけ自分の運命を悔いた。
その日の午後、採用の連絡が入る。
初出勤日の予定を決めた。
先ずは、1ヶ月、4時間勤務。
研修期間を終えて、そのうち休憩を入れた7時間勤務になるそうだ。
翔の奥さんには、絶対に会いたくない。
会ってしまったら、私はもう嫉妬の渦に呑み込まれてしまうから。
そして、この暮らしに苦悩の日々を送る事になるから。
翔との関係は、出来る事なら終わらせたくない。
ワガママで、都合の良い勝手な自分の気持ちを、翔を見掛けたら抑えられなくなるに決まってるから。
でも翔は、どんなふうに、これからの私との関係を続けていこうとしているのだろう。
用が済むと、すぐに翔は会社へと戻る。
「寂しい?」
「明日も会えるから平気」
「いいよ、また翼の旦那が風呂入ってる間に、こっそり抜け出して来ても」
「堪らなくなったらね」
「いつでもすぐ出来るように、翼の事だけ考えて、ココ温めておくよ?」
と、翔は悪ふざけでズボンの上から、自分の股間に手を添えた。
「やだ、もぉ。エッチ!」
「エッチ好きなのは翼だろ?」
「思春期じゃないんだから、発情し過ぎ!」
こうやって、いつの間にか笑い合い、冗談の言える仲になっていた。
「じゃあ、俺、会社戻るわ」
そして、今日は201号室の私の部屋から出て行こうとするから、とっさに後ろから翔を抱き締め引き止めた。
「翔、愛してる。ねぇ、今私に見せてくれている翔はホンモノの翔だよね?」
「当たり前だ」
私はその背から手を離す。
振り返り際に、翔は優しい顔をして言った。
「妻にも誰にも見せていない、ホンモノの俺だ。それを、おまえにしか見せていない。信じろ」
その言葉に、私は安心してうなずいた。
「行ってらっしゃい」
「あぁ、じゃあまた。誰か来ると危ないから、鍵閉めとけよ」
私は、また今の何気ない言葉にドキッとして、今までよりも更に翔を好きになった。
誰よりも何よりも先に、翔ともっと早く出逢っていたなら、もしかしたら私は毎日この人と一緒に生活出来ていたかも知れない。
神様の決められた運命の出逢いの遅さに、私は少しだけ自分の運命を悔いた。
その日の午後、採用の連絡が入る。
初出勤日の予定を決めた。
先ずは、1ヶ月、4時間勤務。
研修期間を終えて、そのうち休憩を入れた7時間勤務になるそうだ。
翔の奥さんには、絶対に会いたくない。
会ってしまったら、私はもう嫉妬の渦に呑み込まれてしまうから。
そして、この暮らしに苦悩の日々を送る事になるから。
翔との関係は、出来る事なら終わらせたくない。
ワガママで、都合の良い勝手な自分の気持ちを、翔を見掛けたら抑えられなくなるに決まってるから。
でも翔は、どんなふうに、これからの私との関係を続けていこうとしているのだろう。