紅蓮の月~ゆめや~
第7章 第二話 【紅蓮の花】 エピローグ
―エピローグ―
花凛は弾かれたように面を上げた。
まるで長い旅から帰ってきたときのような心持ちで、立ち尽くしたまま、ゆっくりと眼を開く。
―一体、私は何をしていたというの?
花凛は一生懸命思い出そうとしたけれど、記憶が曖昧で霞がかかったように思い出させない。確か学校の帰りに真っすぐに家に帰りたくなくて、寄り道をした。町外れの見たこともない小さな古い店に寄った。その店の名は―。
「ゆめや」
花凛が呟くと、眼の前の美しい女主人が微笑んだ。
「そう、ここはお客様に夢を売る店です」
その声に、漸く現実に立ち戻ることができた。
花凛は弾かれたように面を上げた。
まるで長い旅から帰ってきたときのような心持ちで、立ち尽くしたまま、ゆっくりと眼を開く。
―一体、私は何をしていたというの?
花凛は一生懸命思い出そうとしたけれど、記憶が曖昧で霞がかかったように思い出させない。確か学校の帰りに真っすぐに家に帰りたくなくて、寄り道をした。町外れの見たこともない小さな古い店に寄った。その店の名は―。
「ゆめや」
花凛が呟くと、眼の前の美しい女主人が微笑んだ。
「そう、ここはお客様に夢を売る店です」
その声に、漸く現実に立ち戻ることができた。