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紅蓮の月~ゆめや~

第11章 第三話 【流星】 エピローグ

 まさに、奇跡のような偶然である。
 もしかしたら、あの着物が見せたひとときの夢は本当に奇跡なのかもしれない。時空をも越えた、儚い幻夢のような奇跡だ。
 女主人が艶めいた微笑を浮かべた。
「お幸せをお祈り致しております。されど、もし、万が一、日々の暮らしに倦むようなことがあれば、ここにおいでなさいませ。一刻の夢をお見せ致しましょう。いつでも、また、お越しをお待ち致しておりますよ」
 女主人の言葉が終わるか終わらない中に、美都の背後で「ゆめや」のガラス戸が軋みながら音を立てて閉まった。
                  (第三話 おわり)

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