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紅蓮の月~ゆめや~

第1章 プロローグ

 元々、実幸は容姿も成績も平凡で、ルックスも良い強士と実幸は誰が見てもお似合いのカップルだとは言えなかった。
 だとすれば、いずれこうなるのは判っていたことなのだろうか。強士が大勢の女の子たちの中からたった一つ、思いもかけず実幸のチョコレートを受け取ってくれたあの日から、実幸は強士だけを見つめてきた。あの瞬間から、実幸は夢を見ていたのかもしれない。とりたてて美人でも可愛くもない自分なのに、強士みたいな素敵な男の子に相応しい女の子なのだと、つい思い込んでいたのだ。
 夢は醒めてしまった。もう、元には戻れない。だが、実幸は無情な現実についてゆけずにいた。今日もいつものように校門の前で強士が来るのを待っていたら、突然、あの台詞だ。

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