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紅蓮の月~ゆめや~

第4章 紅蓮の月 エピローグ

 エピローグ

「―信長様」
 呟きが落ち、実幸はうっすらと眼を開いた。随分と長く眠っていたような気がする。ふいに熱い雫が頬を流れ落ち、実幸は愕いた。
 実幸は泣いていた。そう言えば、何かやり切れないような気持ちだった。切ないような、それでいて、その切なさを愛おしく思うような、相矛盾した心情が複雑に入り乱れている。
「哀しい夢をご覧になりましたか」
 その声に、実幸は我に返った。
 眼の前の「ゆめや」の女主人が白いハンカチを差し出している。実幸は手のひらで涙を拭って、首を振った。ハンカチは要らないという意思表示のつもりだ。
「何度かうなされておいでのようでしたが」
 女主人が気遣わしげな表情で言う。実幸は
改めて周囲をぐるりと見回した。

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