紅蓮の月~ゆめや~
第5章 第二話【紅蓮の花】 プロローグ
カチコチ―、刻をきざむ音は次第に大きくなる。それにつれて、周囲の空間がねじれるような奇妙な感覚に襲われた。あたかも水に呑まれてしまったかのように息苦しさを感じ、花凛はもがいた。
―何なの、これ。
花凛は大いに混乱した。
―助けて!
あまりの息苦しさに花凛は手で胸元を押さえた。何かを訴えるように女主人に向かって手を伸ばしたが、彼女はうっすらと笑んだまま花凛を見つめているばかり。
―ああ、私は、こんな場所で死ぬのかしら。
花凛は無意識の中に思った。継母のことは大嫌いだったけれど、優しい父を嫌いではない。突然、死んでしまったら、父は哀しむだろうか。そんなことを考えながら、花凛はゆっくりと意識を手放した。
やがて、花凛の意識は身体ごとすっぽりと大きな闇の底深くへと呑み込まれてゆく。
―何なの、これ。
花凛は大いに混乱した。
―助けて!
あまりの息苦しさに花凛は手で胸元を押さえた。何かを訴えるように女主人に向かって手を伸ばしたが、彼女はうっすらと笑んだまま花凛を見つめているばかり。
―ああ、私は、こんな場所で死ぬのかしら。
花凛は無意識の中に思った。継母のことは大嫌いだったけれど、優しい父を嫌いではない。突然、死んでしまったら、父は哀しむだろうか。そんなことを考えながら、花凛はゆっくりと意識を手放した。
やがて、花凛の意識は身体ごとすっぽりと大きな闇の底深くへと呑み込まれてゆく。