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抱きしめた体を離す拓己。
その途端に、涙が溢れる。

…恐怖が頭の中を支配する。
…怖い

またさっきみたいに知らない男に触れるんじゃないかって思うと、震えが止まらないのだ。


「震えが止まるおまじないだよ？」

「無理っ…怖くて…もうっ…」


心の中はいっぱいいっぱいで、言いたいことが上手く日本語にならない。

それを見た拓己が頭を撫でる。

「簡単だよ―――、

頭の中を、俺でいっぱいにすればいいんだよ」


拓己の顔が近づいてくる。


そして、あたしの口を塞いでしまった。