届きそうで、届かなくて、、、届けたくて。
第4章 episode3 ~*あり得ない*~
唯「うわっ、」
和「うわってなに(笑)
まぁでも、交渉成立、ですから」
繋がれた手を指差し、勝ち誇った笑みをする彼。
それはまるで、
もう後が引けないことを証明するかのようにがっしりと握られていた
それからというものの。
二宮さんには、野良猫の如く寄ってきた女がいること
その女は、教えたこともないメアドや番号を知ってたりする
危険人物だということ
その女から離れるべく、私を彼女だと偽ること
その他たくさんの事情を教えてもらった
和「あとは、あくまでも、ただ偽るためだけだから、
お互いの空間は邪魔しないこと」
唯「私をとことん利用するのに、何もないんですね」
若干嫌みを言ってみたのに
和「交渉は成立してるはずだから。
それに、唯に部屋もあげるし、俺が利用する以外は今までの生活と全く一緒。
相手の時間を邪魔しないなんて、
簡単でしょ?」
ここまで言われると
唯「はい、あなたの時間は絶対に邪魔しないようにします。」
負けず嫌いな性格がでてしまう
あなたはどうしてそう簡単に言い切れるのですか
もう恋なんてしないと決めた私の心を、一瞬で動かしたのに…
本当は、普通のカップルみたいな生活がいいです
この一枚の板をくぐれば同じ空間なのに。
同じ屋根の下、一言も言葉を交わさないのは…辛いです
どうか、私の気持ちに気づいてください……。