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きょうどうせいかつ。

第8章 しかけにんは おどろいた。


「……先代の勇者は、こんなに強情じゃなかった」

「は?」

「だから、先代の勇者は、もっといい人だったっていったのよ」

勇者は姫の発言に首をかしげた。
彼の中にある記憶が正しければ、先代の勇者は死んだはず。
だから、こうして勇者が二代目として来ているのだから。

「先代の勇者は死んだはず……」

「ああ、そっか。そう言えば、そんな噂も流したわ」

「噂!?」

「ええ。あ、ちょっと待って。いいこと考えたから」

そう言って、姫は部屋を飛び出していった。
取り残された勇者は、ポカンと口を開けている。

というか、そんな噂もっていったよな。
他にどんな噂を流したんだよ。

以前混乱し続ける勇者は、机に伏せて、脱力した。

完璧に相手のペースだ。
このままじゃ丸め込まれる。

五分ほど待っただろうか。
姫は再び部屋へ戻ってきた。
一人の男をつれて。

「誰……」

勇者は昨日から驚いてばかりだということに気づかず、またも、口を開けてポカンとした。

「なんやおどれ、えらい反応ええやんか」

姫と共に入ってきた男は、少し訛りのある口調でそういった。

「今の勇者ってこいつ?イザベラちゃん」


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