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ふたりのカタチ

第5章 言えないキモチ

「昨日のことだけどさ」
オレはキッチンに立つあやねえに話しかけた

あやねえは冷蔵庫から取り出したタマゴを
落としそうなくらいビクっとなって
オレの方を見ている

「オレ、軽い気持ちで言ってないから…ね」
「う、うん…」
「オレ、好きだからね、あやねえのこと」
「………」
「ゆっくりでいいから…考えて?」
「………」
「待ってるよ…返事…」

伝えたいって思ってた言葉を
噛みしめるように言ってみる

あやねえは
困った顔をしてずっとオレを見ていた

「あ・や・ね・え!」
一文字ずつ大きな声で呼んでみると
我に返ったように、うんわかった、と
小さく言った

「あやねえそれからさ…」
「え?な、何?」
「お腹、めっちゃ空いたんですけど?」

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