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背中デ愛ヲ、囁キナサイ

第1章 暗闇ノ中デ


……これ、何?


 彼女の左手の爪には血がついていて、思わず息を飲んでしまった。

 僕は思いあまってそこに手を伸ばして触れてみたけれど、ぼこぼこと、ざらざらとして、まるで彼女の肌ではなかった。

 僕の手の平の熱と汗が無数の傷に染みたのか、彼女はくっと肩をすくめ、その姿が何故だか僕の胸をジンジン痛めた。

 なんなんだよ、この傷は……






〔第1章 暗闇ノ中デ 了 〕

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