背中デ愛ヲ、囁キナサイ
第2章 月明カリノ下デ
「ねえ、まゆみ?」
わたしを抱きしめてくれている彼の声にふと顔を見上げると、暗闇の中、彼はわたしの目を覗き込んできた。
「まゆみの顔も体も、僕、見たいんだ。電気、つけちゃだめ?」
わたしは首を横に振って明かりをつけることを拒み、表情を見られないようにと、再び彼の胸へと顔を埋めた。
だめ、
見られたくないの……
今日の彼は、ちょっといつもと違く感じる。
このひと月、わたしが背中を向けることにも、真っ暗にすることにも、何も言わなかったのに……
わたしは彼が何かを察しているのではないかと不安になり、彼の腕の中で、ギュッと小さくなった。