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背中デ愛ヲ、囁キナサイ

第2章 月明カリノ下デ


 トン、
 トン、
 トン、……

 まるで、小さな子供を寝かしつけるかのように、大きな手の平でわたしの背中を優しく撫でる彼。


 お願い、何も聞かないで。


 それから彼は、背中を撫でる手を止め、今度はわたしの髪の毛を指でくるくると絡めては放したりを繰り返していた。

 何も話さない。

 いつもなら、少しおかしな話をしてわたしを笑わそうとしたり、いたずらっ子みたいに艶っぽいことを耳元で囁いたりする彼が、今日は無言で大きく呼吸するだけだ。

 やっぱり今日のあなたは違う……

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