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背中デ愛ヲ、囁キナサイ

第2章 月明カリノ下デ


「まゆみ?」

 なんだか、懐かしい……
 
 久しぶりに彼の声を聞くような感じだった。

 わたしの体に毛布をふわりとかけた声の主は、どうやら私の背中の方でベッドに腰かけているらしく、

 月の光で照らされたその影が、月に背いたわたしの目の前に浮かび上がっている。

「ごめんね。怖かったろ?」

 なんでこの人は最後まで優しくするんだろう……

 そう思ったら、これ以上息が吸えないような感じがした。

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