秘密の蜜は甘い
第8章 動き出す
「鈴ってさー…罪な女だよね」
リクの言葉を聞きながら、
俺は大きく頷いた。
・・・今だってそうだ。
『お兄ちゃん、一人じゃ怖いから…一緒に寝て?』
そう言われた時には、
本気でヤバイかと思った。
髪から滴る雫とお風呂上がりの所為で火照る体は、ただでさえ俺を意識させるのに、そのまま抱きつかれると困る。
ぎゅっと抱きしめられて、俺は動揺したのを隠すように笑顔を作った。きっと鈴は天然だから気付かないんだろうな。
…だけどその表情を、ばっちりリクには見られてしまった。
リクは俺に妙に鋭い所為か、そういう事はいつも見逃さないのだ。
…俺も見逃してないけど。