秘密の蜜は甘い
第8章 動き出す
俺がイかれた変態野郎を潰した後に駆け戻ると、リクが本気の目をしていた。
あれでもし俺が行かなければ、今度はリクが狼と化していただろう。
絶対させねぇけど。
「兄貴はずりぃよな」
「え?」
ポツリ、独り言のように
呟くリクに、俺は聞き返す。
「兄貴は…ずりぃ」
「まぁ、お前は素直じゃないからな」
鈴は意地悪したり悪口言うリクが嫌いだと言う。
…恋愛って不思議な事に〝嫌い〟から〝好き〟にくるっと変わる事があるから怖い。
それに今日、リクが一方的にキスしていたとはいえ、鈴の顔は真っ赤に染まっていた。
…つまり、ちゃんと男として意識されているということだ。