束縛彼氏
第5章 束縛彼氏のライバル
『…っ…はぁ…はぁ、っう…っ…』
あたしは泣きながら無我夢中に家へと走っていた。
《俺のこと好きじゃなくても良い。だけど、だけどさ、嫌いにはなんないでっ…》
あの時、実はあたしは藍斗の顔が見えていた。あたしの前にあったドアのガラス越しに藍斗が写っていたのだ
あの時の顔、頭から離れないの。
あの顔を思い出す度、胸が苦しくなっていますぐにでも藍斗に「嘘だよ、本当は好き」って言いたくなるの
どうせなら狂気に支配された藍斗の顔で言ってよ、そしたら嫌いになれるのに。
何でいつもの優しい藍斗なの?