
真っ赤な家庭
第4章 嘘
中村と一緒にいたのが何日か前に感じた。
昨日の今日なのに。
自分はこの何時間か時空を超えて他の世界に何日もいたように感じた。
「林さん、
何ぼーとしてるんですか?」
「おっ…、すまん。」
「三日間体調が悪かったから、まだ本調子じゃないんですね。」
え?
「またぼーとして、
これだから年寄りは…」
「中村、自分が具合悪いって?」
「急にどうしたんすか?三日前に電話で言ってたじゃないですか!」
「……そうか。」
「そうですよ、
おかしいですよ、まだ休んだほうがいいんじゃないんですか?顔色悪いですよ。」
「大丈夫だ、
心配かけたな、すまん。」
中村は驚いた顔をしていたが、自分のほうが驚いて、驚きを隠せなかった。
