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兄と首輪

第8章 兄と鍵



〔西川さん、いいかしら?〕


先輩マネージャーの輪から離れて一人、私に話し掛けてきた


『はい…』

〔西川さんのお母さんって花屋さんにお勤めしてたわよね…〕

『はい、駅前のフラワーショップです。』


〔なら…送別会で先輩方に渡す花束をそこに頼んでもらっていいかしら?
花束の数と予算はこの紙に書いてあるから……

あ…勝先輩に花束…ばれちゃうか…

なら……当日…お店に届けてもらえれば……いいんだけど…配達してるお店かしら?〕


何と…気配りのできる人が…いたものだ…


『…あ…大丈夫だと思いますよ…
今日帰りに注文と配達の依頼してきますか?』


先輩の顔はパッと明るくなった

〔ありがとう。じゃあ、この紙にお店の名前と住所と電話番号も書いておくね〕

と…その場でメモに書き足して私に渡してくれた…


〔ん?どうしたの?〕

『あ…段取りいいですね…』


私はメモを受け取り先輩を見た

〔ま…皆…あんなのだったら…仕事にならないでしょ?一人や二人…しっかりしないと(笑)〕


笑いながらキャーキャー騒いでいるマネージャー仲間を目で指した。


そんな仕草がお茶目で私も笑ってしまった…


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