テキストサイズ

側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】

第20章 第四話 【牡丹の花咲く頃には】 花びら占い

 が、キョンシルはトスの思惑を知らない。
 もしかしたら、キョンシルの身体を手に入れたことで、トスはもう彼女への興味を失ってしまったのかもしれない。そんな良い加減で不実な男だとは思いたくなかったけれど、ここ二日ほどの彼の態度を見ていると、全くあり得ない話とばかりは言えないとも思えてくる。
 もっとも、それは彼女が感じていることにすぎず、トスの態度はこれまでと微塵も変わらない。むしろ、ソンと一緒にいるときでも、心はトスの側にあったとキョンシルが告げたことで、彼の心の憂さは完全に晴れたようだ。まるで憑きものが落ちたように晴れやかな良い表情をするようになった。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ