側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】
第20章 第四話 【牡丹の花咲く頃には】 花びら占い
家の前に咲いていたのは、どこからか種が飛んできたものか、自生した椿だった。まださほど大きくなってはおらず、たった一輪だけ咲いていたのだ。その花を摘み取っただけでも罪深い行為だと思うのに。
キョンシルは狼狽えて手のひらで眼をこすった。足許に落ちた花びらが突如として、血飛沫(しぶき)に見えたのである。
幾度か眼をこすっては見つめている中に、花びらはやっと本来の姿を取り戻した。それにしても、椿の花びらが一面に散った血に見えるだなんて、何て不吉な幻だろう。
己れがたった今見たばかりのあまりに禍々しい光景に、キョンシルは愕然として立ち尽くした。自分の精神状態が到底、尋常ではないとしか思えなかった。
キョンシルは狼狽えて手のひらで眼をこすった。足許に落ちた花びらが突如として、血飛沫(しぶき)に見えたのである。
幾度か眼をこすっては見つめている中に、花びらはやっと本来の姿を取り戻した。それにしても、椿の花びらが一面に散った血に見えるだなんて、何て不吉な幻だろう。
己れがたった今見たばかりのあまりに禍々しい光景に、キョンシルは愕然として立ち尽くした。自分の精神状態が到底、尋常ではないとしか思えなかった。