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側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】

第20章 第四話 【牡丹の花咲く頃には】 花びら占い

「その理由というのは二つある」
 祖父の視線が更に厳しくなった。その二つの理由というものが判らなければ、もうその時点でトスは〝失格〟となるのかもしれない。
 トスは少しの間、考え、ゆっくりと応えた。かなり言葉を選んでいるようだ。
「一つめは何となくですが、判るような気がします」
「ホホウ、では、君の考えたその理由とやらを教えてくれ」
 イルチェに促され、トスは頷いた。
「俺、いえ、私のキョンシルへの気持ち―ではないでしょうか」
 トスは短い間を置いて、更に言葉を紡いだ。

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