
側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】
第9章 第二話 【はまゆうの咲く町から】 李家の御曹司
「俺の聞き間違いじゃなけりゃア、確かにそういう風に聞こえたけどな。マ、そんなことは俺には興味がねえんだ。俺が言いたいのは、あいつを嫌いにならねえでやってくれということさ」
「何ですって?」
またも、この世のものならぬ美貌の男から放たれた言葉に茫然とさせられてしまう。
「あいつ、どう見てもお前にひとめ惚れだな。俺たちゃ、こう見えても、ガキの時分からの知り合いだし、あいつは見てのとおり判りやすい奴だろ? 考えてることが全部、顔に出る奴なのさ。だから、お節介を焼いておきたくなったんだ。あつは弱っちいし、男らしくもねえ奴だが、本当は優しい良い奴だよ。先だっても俺を孤児だと言っていたが、そのみな児しに親にも内緒でおやつを隠し持ってきてくれたような奴だ。見かけほど高慢でもない。
「何ですって?」
またも、この世のものならぬ美貌の男から放たれた言葉に茫然とさせられてしまう。
「あいつ、どう見てもお前にひとめ惚れだな。俺たちゃ、こう見えても、ガキの時分からの知り合いだし、あいつは見てのとおり判りやすい奴だろ? 考えてることが全部、顔に出る奴なのさ。だから、お節介を焼いておきたくなったんだ。あつは弱っちいし、男らしくもねえ奴だが、本当は優しい良い奴だよ。先だっても俺を孤児だと言っていたが、そのみな児しに親にも内緒でおやつを隠し持ってきてくれたような奴だ。見かけほど高慢でもない。
