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側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】

第12章 第二話 【はまなすの咲く町から】 心のありか

「あいつは良い奴だ。見かけは本当に良い加減というか、ちゃらちゃらした女タラシだけどね。意外に芯はしっかりしてるんだよ。光王は身寄りもないのに、自分の力で小さな店を開くところまでのし上がった。僕は内心、あいつの逞しさやしたたかさが羨ましいんだ」
「若さまもやってみれば良いのに」
 え、と、ウォンジュンが眼を見開いた。
「お仕事がしたいのなら、お父さまに直接、はっきりとおっしゃれば良いんです。身体に負担をかけないように無理はせずに、少しずつ学んでゆくからと言葉と時間をかけてお願いすれば、きっと判って頂けますよ。若さまはいずれ、絹店を継ぐ方ですもの。お父さまから学べること、教えて頂けることがあればすべて憶えるくらいのお覚悟をもたれなくては」

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