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「あいつに何と言われて、その気になった？」
　ふいにトスが鋭い一瞥をくれた。キョンシルはあまりの剣幕に気圧され、眼をまたたかせる。
「別に何も」
「口の上手い奴だからな。朴念仁の俺と違って、さぞ嬉しがらせることを並べ立ててくれたのだろうて。女の気を引く常套句をさも真実のように語る男だ」
　キョンシルの声が思わず大きくなった。
「何でそんな酷いことを言うの。そんな言い方、トスおじさんには似合わないのに」
　口数は少ないけれど、トスはけして人嫌いというわけではなく、むしろ情に厚い男気のある男だ。なのに、どうして今回に限って、こんな風に頑なになるのだろう。