『側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】』第14章「第三話　【むせび泣く月】　意外な事実」　635ページ

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側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】

第14章第三話　【むせび泣く月】　意外な事実

　キョンシルは自分でも自覚できるほど頬が熱くなった。
「ソン、気持ちは嬉しいけど、それは」
「やはり、駄目か？　私が買った靴は受け取れないと？」
　あからさまに落胆の表情を見せられ、キョンシルは烈しく首を振った。
「違うのよ。高貴な両班の若さまはご存じないだろうけど、最近、巷では流行ってるの。そ、その、結婚を求める女に、男の人が求愛する際、靴を贈るっていうのが。それで、女の方が靴を受け取ったら、それが〝はい、承知しました〟っていう承諾の返事になるのよ。だから、ソンの気持ちはとても嬉しいけれど、私がその靴を頂くのはまずいと思うわ」
　と、ソンの顔が俄に赤みを取り戻した。