側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】
第15章 王宮という名の伏魔殿
「そなた!」
臨尚宮は血相を変えて走っていった。
「そなたが淑媛さまのチマの裾を踏んだのであろう」
集団に追いつき、最後列にいた若い女官に噛みつくと、憎らしいことに、女官は口答えする。
「私は別に何も致してはおりません」
「いや、私は確かに見た。そなたが我が主(あるじ)淑媛さまを転ばせたのだ」
「言いがかりをつけるおつもりですか? 私は何もしていないと申し上げておりますのに」
「ええい、無礼にも程がある」
パシンと乾いた音が響いた。臨尚宮が女官の頬を打ったのだ。
臨尚宮は血相を変えて走っていった。
「そなたが淑媛さまのチマの裾を踏んだのであろう」
集団に追いつき、最後列にいた若い女官に噛みつくと、憎らしいことに、女官は口答えする。
「私は別に何も致してはおりません」
「いや、私は確かに見た。そなたが我が主(あるじ)淑媛さまを転ばせたのだ」
「言いがかりをつけるおつもりですか? 私は何もしていないと申し上げておりますのに」
「ええい、無礼にも程がある」
パシンと乾いた音が響いた。臨尚宮が女官の頬を打ったのだ。