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側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】

第16章 第三話 【むせび泣く月】 飛翔する鳥

「ソン」
 キョンシルは居住まいを正し、ソンを真っすぐに見つめた。キョンシルの様子に何か感じたのか、ソンの笑みが消えた。
「ずっと言わなければならないと思っていたんだけど」
「なに? そのような怖い顔して切り出されると、私の方も不安になるが」
 キョンシルは一旦うつむき、顔を上げた。
「私、そろそろ町に帰ろうと思うの」
 その瞬間、ソンの綺麗な顔が強ばった。
「どうして?」
「私があなたの本当の意味での妃になることはないし、いつまでもこんな中途半端なことを続けていても意味がないわ」

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