側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】
第17章 第四話 【牡丹の花咲く頃には】・戻らぬ男
ソンはいかにも上流両班(ヤンバン)といった雰囲気を漂わせている端正な面立ちの貴公子であった。この(朝)国(鮮)は頂点に国王を頂く両班といった特権階級の者たちが幅を利かしている。両班でなければ人ではない―、といった風潮があった。しかし、ソンは両班の子息らしからぬ純朴で気遣いのできる人柄で不思議と人を惹きつけた。
確かに最初はキョンシルもソンに惹かれた一人であった。トスとソンの間で心が揺れたことも事実だ。が、やがてキョンシルにもその想いがソンの人柄に対する好もしさであること、更に彼の孤独な生い立ちに対する同情であると自覚できたのだ。
確かに最初はキョンシルもソンに惹かれた一人であった。トスとソンの間で心が揺れたことも事実だ。が、やがてキョンシルにもその想いがソンの人柄に対する好もしさであること、更に彼の孤独な生い立ちに対する同情であると自覚できたのだ。